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2017年2月

2017年2月26日 (日)

リヴァーサイドのモンク

Theloniousinaction

セロニアス・モンクはリヴァーサイド・レコードに数々の録音を残した。その録音を『ブリリアント・コーナーズ』『ヒムセルフ』『ウィズ・コルトレーン』という具合に辿ってくると、さて、この次は何を聴こうかという気持ちになる。それは、この三枚が途方もない山頂を形成していて、これらを登りつめたあとはもう下山するしかないという気にさせられるからだ。だが、登頂だけが山登りの楽しみではない。登山道の途中にだって大きく眺望の開ける場所があるにちがいない。

というわけで、リヴァーサイドの他の作品『イン・アクション』『ミステリオーソ』を聴いてみた。これはジョニー・グリフィンらが加入していた当時のモンク・クァルテットがニューヨークのファイヴ・スポットに出演したときのもの。モンクは管楽器を入れたクァルテットを長く率いたが、これが現実的には自作曲を演奏する際の最良の編成であったことが納得させられる。

Thelonious Monk : Thelonious in Action  (Riverside)

Light Blue
Coming on the Hudson
Rhythm-A-Ning
Epistrophy (theme)
Blue Monk
Evidence
Epistrophy (theme)

Thelonious Monk : Misterioso  (Riverside)

Nutty
Blues Five Spot
Let's Cool One
In Walked Bud
Just a Gigolo
Misterioso

Johnny Griffin (tenor sax)
Thelonious Monk (piano)
Ahmed Abdul-Malik (bass)
Roy Haynes (drums)
"Five Spot Cafe", NYC, August 7, 1958

Misterioso

2017年2月10日 (金)

小沼丹の連作短篇集『黒と白の猫』

Photo

小沼丹には大寺さんという人物を主人公にした一連の短篇集がある。これらは幾つかの随筆集に分散されて収録され、現在そのままの形で復刻されている。それが最近になってこの小説群が一冊にまとめられ、『黒と白の猫』として刊行された。

ちょうどバラードの『ヴァーミリオン・サンズ』やヘミングウェイの『ニック・アダムズ物語』のような体裁になったのだが、大寺さんものが連作短篇集として一冊にまとめられた意義はやはり大きいし、それにも増して、本書の刊行にあたって旧仮名遣いがそのまま採用されたのは、小沼丹の作品を愛好する読者にとって何よりの喜びである。

たとえば、『タロウ』の出だしはこんな具合である。

その頃、大寺さんは病気で臥てゐた。
三方を本で囲まれた部屋の窓際にベツドを置いて、毎日その上で過した。病人の所にはいろんな人が来て、いろんな話をして行く。大寺さんと同じ病気で大きな空洞があつたけれども、いまぢやこの通り、と云ふ人も何人かある。
——ほんとかな?
——ほんとですとも、尤も、と相手はちよつと考へ込む。尤も他の奴は大抵死んぢやつたけれども……。
それから、話が妙な具合に進展したのに気附いて、どうぞお大事に、と帰つて行くのである。

小沼丹の作品の淡い描写やとぼけた感じなどはゆったりした時間感覚と切り離せないのだが、それを醸し出しているのが旧仮名遣いであるような気がするのである。

小沼丹『黒と白の猫』(未知谷、2005)
黒と白の猫(『懐中時計』)
揺り椅子(『懐中時計』)
タロウ(『懐中時計』)
蝉の脱殻(『懐中時計』)
古い編上靴(『銀色の鈴』)
眼鏡(『藁屋根』)
銀色の鈴(『銀色の鈴』)
藁屋根(『藁屋根』)
沈丁花(『藁屋根』)
入院(『木菟燈籠』)
鳥打帽(『木菟燈籠』)
ゴムの木(『木菟燈籠』)

2017年2月 3日 (金)

シューベルト:ピアノ三重奏曲第一番他

Pianotrioop99

シューベルトのピアノ三重奏曲第一番はかつてルービンシュタイン、シェリング、フルニエの盤で聴いていたが、程なく処分してしまった。彼らの演奏が気に入らなかったわけではない。冒頭の運動会の行進を思わせる主題が耳につき、聴き通すことができなかったのだ。

それが歳をとるにしたがって、あくの強い主題も次第に耳に触らなくなり、全曲を聴き通せるようになった。年齢とともに感受性が衰えるのは仕方ないにしても、聴ける音楽が増えようとは思いもしなかった。

というわけで、長い中断を経て再び買い求めたのはスーク・トリオの PCM 録音盤。もっと新しい録音もあるのだが、彼らの演奏は先にベートーヴェンの大公を聴いて好ましく感じていたから。

打てば響くという形容そのままの彼らの鋭敏で、しかも力強さを備えた演奏は、室内楽を聴く楽しみと醍醐味を味わわせてくれる。

併録のノットゥールノの息を潜めた開始は、ハ長調の弦楽五重奏曲の緩徐楽章を思わせる。この繊細な響きも十分に捉えられている。

Schubert : Trio in B-flat, Nottruno in E-flat (DENON)
Trio in B-flat Major for Piano, Violin and Cello, op.99
Nottruno in E-flat Major for Piano, Violin and Cello, op.148
Suk Trio
Jan Panenka, piano
Josef Suk, violin
Josef Chuchro, chello
June 19 and 20, 1975
Lucany, Romancatholic Church St. Mary, CSSR

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