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2016年12月

2016年12月17日 (土)

放送大学の面接授業『夏目漱石の人と文学』

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夏目漱石の小説『行人』を読んだ。

漱石は、小学生の頃に『坊ちゃん』、高校生のときに『我輩は猫である』、成人してから『三四郎』『それから』を読んで以来、実に四十数年ぶりのこと。というのも、放送大学今年度二学期の面接授業(スクーリング)『夏目漱石の人と文学』で『行人』が取り上げられることになり、授業を受ける前に読んでおく必要があったからなのだ。

新潮文庫版のカバーにこう記されている。

学問だけを生きがいとしている一郎は、妻に理解されず、親族からも敬遠されている。我を棄てることができず孤独に苦しむ彼は、愛する妻が弟の二郎に惚れているのではと疑い、弟に自分の妻と一晩よそで泊まってくれとまで頼むが……。

と、一郎の孤独は当時のインテリゲンチャの悲劇としか言いようのない、ほとんど病的なものだ。この厄介な小説を、当時の社会情勢、作家漱石の私生活等を押さえながら、八コマの授業で読み解いていく。講師は静岡大学人文社会科学部の元教授、酒井英行氏。

授業はちょうど、NHK-BS で不定期に放送される『深読み読書会』のように進行する。しかし、どんなに深読みしたところで、明解な解答が待っているわけではない。小説中に書かれていない以上当然のことなのだが、しかしながら、どんな突飛な解釈も許されるかといえば、もちろんそうではない。講師は、解釈に至った根拠を示すことが重要だと説く。

夏目漱石『行人』(新潮文庫、昭和 27 年)

2016年12月 1日 (木)

静岡文化芸術大学公開セミナー

 

Suac
浜松市にある静岡文化芸術大学では、一般向けの公開講座が数多く開講されている。この秋には三回にわたって文化芸術セミナー「美術と音楽の西洋史」が開かれた。今回は西洋史の後編で、「ロマン主義・ロマン派」「印象派・印象主義」「現代美術・現代音楽」。これは昨年の前編「ルネサンス」「バロック」「新古典主義・古典派」に続くものなのだが、僕はこちらは知らずにいたので、今回後編のみを聴いたのだった。

講座は三回とも、前半の一時間が美術と音楽の講話で、立入正之准教授、上山典子講師から美術史、音楽史における時代的、作品的な特徴が解説された。

後半の一時間はピアノ演奏で、「ロマン主義・ロマン派」では石井園子さん、「印象派・印象主義」では原田麻里さん、「現代美術・現代音楽」では大井浩明さんがそれぞれの時代の代表的作曲家の曲を演奏した。

この中で珍しかったのは、シェーンベルク、ウェーベルン、ベルクの管弦楽曲、弦楽四重奏曲を米沢典剛氏が編曲したピアノ独奏版を取り上げていたことで、いずれも今回の演奏が世界初演とのこと。ただ、僕には、ウェーベルンの『交響曲 Op.21』、ベルク『叙情組曲』などの精妙な音色や響きが、ピアノ独奏版ではうまく再現できていなかったような気がした。

演奏が終わって拍手のあと、演奏者が客席の一人を紹介していた。その方が編曲者の米沢氏かもしれないと思った。

毎回八頁の印刷物が配布されたが、このうち四頁が上山講師による演奏曲目の解説になっていて、これがとても詳しく、鑑賞上大いに参考になるので、保存することにした。1970 年代後半、研究家ジョージ・パールによる『叙情組曲』の成立事情も、当然のことながら、盛り込まれていた。

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