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2016年8月25日 (木)

山川方夫のミステリ

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山川方夫という作家がいたのだそうだ。発表した作品が次々と芥川賞や直木賞の候補になりながら結局は受賞に至らず、34 歳という若さで急死したという。1930 年生まれというから第三の新人たちよりも若いのだが、名前や作品が知られていないのはこうした事情によるのだろう。

山川方夫は小説のほかにミステリ、戯曲、放送台本、エッセイ、映画評論も手がけていたという。そのなかのミステリのみをまとめ、創元推理文庫から刊行されたのが本書。

『親しい友人たち』は雑誌「ヒッチコック・マガジン」に発表された短篇群。いずれも十頁程度のごく短いもので、どれもが苦い読後感をたたえている。巻末の解説で法月綸太郎氏が指摘しているように、ロアルド・ダールの作風を思い起こさせる。

『トコという男』は「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」に連載された、これもまたごく短い短篇集。「僕」という人物とその友人「トコ」との会話で進行する。この「トコ」が大変な議論好きで、多くの場合「僕」はこてんぱんに論破されるか、煙に巻かれてしまう。「トコ」は「とことん」の「トコ」であるとのこと。なるほど。

人を見れば議論をふっかけないではいられない 1960 年代の空気を伝えていると同時に、そんな「トコ」が山川方夫の分身であるようにも感じる。

山川方夫ミステリ傑作選 高崎俊夫編『親しい友人たち』(創元推理文庫、2015)
親しい友人たち
トコという男 ほか

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