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2010年5月 9日 (日)

アルド・チッコリーニの記事

Ciccolini

5 月 3 日付けの読売新聞にアルド・チッコリーニのインタビュー記事が載っていました。この三月に来日したときに取材したものです。

チッコリーニというと、僕はエリック・サティを全曲録音したということでその名前を知っているだけで、彼の演奏を聴いたことはないのですが、この記事がなかなか興味深いものなので、紹介してみようと思います。

まず、冒頭、

ピアニストは「オリジナル」な演奏をめざしてはいけない。音楽家の「オリジナル」なんて退屈そのもの。それより楽譜を忠実にひもとき、作品の内面に没入できるまで長い時間練習すべきです。

さらに、

音楽の核心に近づきたければ経験を積むこと。指の鍛錬は重要ですが、単なるエクササイズは芸術にそぐわない。精神を研ぎ澄まし、孤独に耐えるのです。

という修行僧のような献身ぶりは、早熟の才能を売り出すことに熱心な現代の人々への異議申し立てに思えるとの記事。チッコリーニ自身のキャリアが遅かったことについては、

それが良かったのかもしれません。「早熟」は本来、天才だけに許された特権ですから。

チッコリーニの伝記の中で、彼自身は今の時代をこう述べていました。

すべてがとてつもなく速すぎます。どうしてそんなに走るのでしょう? きっとこれが死に挑む現代のやり方なのでしょうか?

そして、インタビューでは、

私たちはゆっくり進むべきです。そうでないと死が早く訪れてしまう。

教育者としては、

私は自分を「先生」だと思ったことは一度もない。音楽を教えるのに不可欠な資質が二つあります。一つは謙虚さ、もうひとつは忍耐力。

「精神を研ぎ澄まし、孤独に耐える」という彼の言葉はとても重い。音楽は聴き手と共にある。とすれば、静かに耳をすまして音楽をもっと深く聴いてみたい、と思うのでした。

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