堀江敏幸のデビュー作『郊外へ』
堀江敏幸さんのデビュー作『郊外へ』は 1995 年に白水社から出版され、その後、2000 年に同社の新書、白水 u ブックスの一冊として刊行されました。著者自身のあとがきによると、「発売当時、本書はいわゆる留学体験をつづったエッセイ、もしくは紀行文として読まれ、書評などでもそのように扱われることが多かった」が、「一連の物語に登場する「私」とその周辺の出来事は、完全な虚構である」とされています。
内容は、フランス留学時にパリ近郊を散策したときの体験から、小説、写真、映画、音楽などに思いをめぐらした随想集のような体裁となっています。随筆集『回送電車』に先立つ散文として、しかも主題をパリ近郊に求めたものとして読むこともできます。
そして、この『郊外へ』はデビュー作にして、すでにゆるぎない独自の文学世界が構築されているのでした。
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