堀江敏幸『未見坂』

相変わらず堀江敏幸を読んでいます。これは去年出版された短篇集で、初出は 2004 年 6 月号から 2008 年冬号までの『新潮』『すばる』『群像』『考える人』。
帯に「『雪沼とその周辺』に続く待望の連作短篇集」と記されているように、やはり、ある架空の地域、春片に暮らす人びとの生活が淡々と綴られています。特別大きな出来事が起こるわけでもなく、地域の商店主や子どもの目を通してその暮らしが静かに語られているのも前作と同じです。
このような静かな短篇に共通しているのが消え入るように余韻を残した終わり方で、たとえばこんな具合です。
『苦い手』母の顔も、父が亡くなった日のように、マグカップで隠れるくらいに縮んで見えた。
『方向指示』あ、と修子さんはあわてて振り返り、現実の窓から外の世界を見やったが、自転車もひとも白っぽい球のような靄を残して、あとかたもなく消えていた。
シベリウスの曲やマイルズ・デイヴィスの『カインド・オヴ・ブルー』を思わせる終わり方だなあ。
雪沼や春片を舞台にした短篇をポツリポツリと発表している堀江敏幸の姿は、いろいろな長篇や短篇の合間に、ヴァーミリオン・サンズでの短篇を不定期に発表してきた J・G・バラードを思わせます。
堀江敏幸『未見坂』(新潮社、2008)
滑走路へ
苦い手
なつめ球
方向指示
戸の池一丁目
プリン
消毒液
未見坂
トンネルのおじさん
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テレビを買い替えました。なにしろ今まで見ていたのが 1987 年の製品だったから、もう 21 年間も使っていたことになります。



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