ヴィルヘルム・ハンマースホイ展

京都で用事を済ませてからは、途中東京で時間をとって、美術館にいこうと思っていました。いま東京では、ピカソ展、フェルメール展、レオナール・フジタ展、ヴィルヘルム・ハンマースホイ展と、美術展が目白押しなのです。
そこで、いつも暖かいコメントを寄せていただいている美術好きの ANNA さんをお誘いして、また、僕のわがままも聴いていただいて、国立西洋美術館で開催されているハンマースホイ展に出かけました。
北欧デンマークの画家ヴィルヘルム・ハンマースホイの名前を聞くのは初めてのことです。そして、日本で彼の美術展が企画されるのも今回が初めてなのです。でも、ちょうど二週間前に NHK 教育の『新日曜美術館』でこの美術展が取り上げられて予習ができていたので、怖いものなし(?)の状態で臨んだのでした。
美術展は、人物画、風景画、それに建物や室内を描いた絵画で構成されていました。
建物や風景を描いた絵のほとんどは、曇り空を背景に陽の当たらない建物や草木がその色を失い、モノトーンで表現されています。そして、対象の輪郭がぼかされて、一様に静かな雰囲気を漂わせているのです。これはいかにも北欧の風景だなあと、北国に住んでいる僕は思うのでした。
室内を描いた作品のうちでは誰もいない広い部屋を描いたものがあって、そのうちの一点は、絵の解説でも述べられていたように、写真からの影響がじかに感じられるものでした。
部屋の中の壁、床、天井が広く描かれた絵の画角はたしかに人間の眼のものではありません。焦点距離が 24 mm 程度の広角レンズで撮影された写真と同様のものです。このためか、ともすれば人工的で窮屈な感じを与えるこの絵を、向こう側の開け放たれたドアが救っています。
人物画では『新日曜美術館』でも紹介されていた『若い女性の肖像、画家の妹アナ・ハンマースホイ』が僕にはとても好ましく思えました。
それから、美術展のパンフレットにも使われていた絵のように、人物の後姿を描いたものが数点ありました。
後姿の人物というと、僕はまっ先にルネ・マグリットの絵を思い出すのですが、ハンマースホイの絵にはマグリットのようなシニカルなものはみじんも感じられません。ただ、静かで謎めいているだけなのです。
ここまでハンマースホイの絵画を鑑賞したら、帰りの時刻までもうすぐに迫っていました。このほかに、同時代のデンマークの画家たちの絵も展示されていたのですが、これらを観ることはあきらめて、『若い女性の肖像、画家の妹アナ・ハンマースホイ』の絵葉書を買い求め、ANNA さんとおしゃべりしながら上野駅まで歩き、カフェで一休み。ここでしばらくお話しして、帰りの新幹線に乗ったのでした。
ANNA さんにはわがままな僕に快くお付き合いいただき、ほんとうにありがとうございました。
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