2017年10月 6日 (金)

チャールズ・ラム『エリア随筆抄』

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チャールズ・ラムの『エリア随筆抄』を読んだ。

ラムは十九世紀初めの文筆家で、英国随筆文学の完成者として知られているとのこと。その作品は我が国の英文学者たちに愛され、彼らは「一種の象嵌細工のような趣」「極めて精緻な用意を以て成る…技巧の神」などと評しているようだ。

ラムの『エリア随筆集』は本来は正続二巻からなる大著で、最近になって正篇続篇合わせて四分冊の完訳が国書刊行会から刊行さればかりだが、これまではもっぱら抄訳で読まれてきたようだ。

僕が読んだのも正篇から十篇、続篇から六篇採られたもので、みすず書房「大人の本棚」の一冊。2002 年発行となっているが、底本は 1953 年の角川文庫である旨記されている。

さて、二百年前に書かれたこれら随筆の各篇だが、ほとんど古さを感じずに読み進めることができた。もっとも、抄訳であることを考えると、訳者が現代に通じるもののみを選択したという可能性もありうるのだが・・・。

中では、生涯独身だったラムが、もし若い日に恋人と結婚していたら生まれていたかもしれない子供たちとの日々を夢見る『幻の子供たち』や、老境に入ろうとするラムと姉が、慎ましい生活を送っていた昔のお茶の時間を懐かしむ『古陶器』は、幻想的な雰囲気を漂わせた作品で、胸を打つ。

チャールズ・ラム、山内義雄訳『エリア随筆抄』(みすず書房、2002)

«原田治『ぼくの美術ノート』

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